ご使用上の条件
1. バニシングドリル/リーマの性能
バニシングとは表面をなめらか優美にする意味でのツール名称です。単に穴あけドリルと言われているツイストドリルとの違いは、加工穴周面がなめらか、優美で指示されたシビアな寸法精度を高能率一発加工をできるのがバニシングドリル/リーマです。また段付、面付きの複合加工を老若男女、人を選ばず精度が確保され精度穴加工の必需工具として国内外で広くご使用いただいています。
2.刃具保持具
刃具取り付け穴とテーパー部についた、切削切粉片やゴミの付着と打痕は、刃具振れとなって加工穴の精度に重大な影響をきたします。確認して取り付けてください。
3.切削油(ドライ加工はできません)
切削油使用
1.不水溶切削油(満足条件をみたし最適です)
2.水溶切削油(原液の希釈倍率8~15倍)
3.切削油の注油方法(大量、高圧で刃具長手方向寄りから)
4.切削回転について
ワーク材質、加工穴、使用機械など様々な条件の違いがありますので、毎分何Mの固定方式より条件に合わせた選定方式によって回転数を決めてください。遅れすぎれば非能率、早すぎれば刃具外径の磨耗を早めますのでハイス材のドリルより少し速いと思われる所を基準にして回転を選定されると無難です。
5.切削送り量
1回転当り切削送り量の目安=(0.05~0.1)
ドリル先端中芯部に押漬し円錐点のトルク限度を切削送り量1回転当り0.1に合わせてありますので、送り目安を守り、大幅なオーバー使用を避けてください。
6.再研削と性能
切削性能を回復させるために行いますが、他の切削工具と同様、新品時の寿命を保つことは困難です。再切削後の寿命は平均的に新品時の30~50%が目安となります。再研削時期は穴の精度、仕上面粗度、刃先の損傷状態などにより判断しますが、極端に損傷したものを再研削しますと逆に不経済になります。
7.刃具の外径面粗度がワークに移るか?
移りません。いかに刃具外径を鏡面上仕上げをしても、ワークの仕上がり面粗度には関係がありません。刃具の外径面粗度の荒さを問題とする向きも有りますが、この面粗度は意識的に設定されたもので、荒い研磨目はきわめて重要な役割を果しています。加工ワークのほとんどが偏肉素型材であり、刃具外径に対し不平等圧力が加わる関係から刃具外径を鏡面仕上げすると、真円度を確保することができません。不平等圧力を平等圧力にする役目を果たすのは刃具外径の荒い研磨目であります。荒すぎず、こまかすぎず加工ワークの寸法確保を長時間持続するよう設定されています。
8.下穴のあるワークにドリル
ドリル先端切刃に角度が付いているので、下穴に倣って刃具にコジレ現象が生じ折損原因となります。貫通下穴はもとより、メクラ下穴・取代の大小に関係なくリーマを使用すること。止り穴を一発加工で仕上げる場合、先端切刃の中心まで刃付を必要としますので、発注時に指示をしてください。
9.不水溶性切削油
性質と効力ではまず「潤滑性が優れている」「切削摩擦熱に対し蒸発しない」また「浸透性が強くバニシングツール使用の必要条件を満たしている」などが好適な切削油です。設定された刃具寸法をバラツキなくワークに移すとともに、仕上がり面粗度は抜群に良く、刃具寿命も極めて長く経済的です。ワークに付着した油を除去するのに洗浄を必要とするので、後処理費用が若干高くなりますが、本来の目的である工程の短縮と寸法精度の安定を重視すれば、副産的利益を含めそのメリットは莫大となります。
10.水溶性切削油
特徴としては、刃具の冷却作用に優れた効果と原液を水で希釈できるので、価格的に安いが、バニシングツール使用上の必要条件である潤滑性、耐熱、浸透力に欠けるので加工物の精度を満足させるには、やや不十分であります。対策として、原液の希釈倍率・通常の希釈率30~50倍を希釈率8~15倍に、注油方法は大量に強く適所から正しく行なって下さい。
水溶性 | 不水溶性 | |
---|---|---|
冷却効果 | 大 | 小 |
潤滑効果 | 小 | 大 |
防腐性のすぐれているものを使用する。
適性濃度。定期更油。機械を洗浄する。
希釈水は水道水を使用すること。
更油時の廃油は専門の業者に処理させる。
表面の粗さ(表面粗さの種類)
最大高さRmax の区分値 |
十点平均粗さRz の区分値 |
中心線平均粗さRa の区分値 |
基準長さLの標準値 | 三角記号 |
---|---|---|---|---|
(0.05S) 0.1S 0.2S 0.4S |
(0.05Z) 0.1 0.2 0.4 |
(0.013a) 0.025a 0.05a 0.10a |
- | ▽▽▽▽ |
0.8S | 0.8 | 0.20a | 0.25 | |
1.6S 3.2S 6.3S |
1.6 3.2 6.3 |
0.40a 0.80a 1.6a |
0.8 | ▽▽▽ |
12.5S (18S) 25S |
12.5 (18Z) 25Z |
3.2a 6.3a |
2.5 | ▽▽ |
(35S) 50S (70S) 100S |
(35Z) 50Z (70Z) 100Z |
12.5a 25a |
▽ | |
(140S) 200S (280S) 400S (560S) |
(140Z) 200Z (280Z) 400Z (560Z) |
(50a) (100a) |
- | - |
( )をつけた区分値はとくに必要のない限り使用しない。